【元プレゼン講師直伝】プレゼンの準備方法・スライド作成編

プレゼンやることが決まったんだけど、どうやって準備しよう? 何にどれぐらい時間かければいい? どこから始めればいいんだろう?

こういった状態の方に向けて書きます。

この記事が信用に値するかですが、僕は元Google社員で、広告の営業をするかたわら、社員向けのプレゼン研修の講師もしていましたので、プレゼンはそれなりに経験があります。またビジネススクールで講師をしていた時期もありますので、効果的なプレゼンの構成などについても、良く理解しているほうだと思います。

それではさっそく始めましょう!



プレゼン目的の設定

ほとんどの人は、いきなりパワポを開いてタイトルを書き始めるのではないでしょうか?

まず、一番最初にすべきは、プレゼン目的の設定です。 プレゼンの本質は「誰かに何らかの行動をとってもらう」ということにあります。ここでいう目的とは、「◯◯についてプレゼンして理解してもらう」といったボヤッとしたものではありません。

なぜならば、理解すること自体に、価値は全くないからです。何らかのアクションをとってもらって、初めて価値が生まれます。ここから真剣に考えることが、プレゼンを効果的なものにできるか、普通なもので終わるか、の分かれ道になります。

まず確認すべきは、プレゼンの前提条件3つです。

オーディエンス

誰に向けたプレゼンかを把握せずに目的は設定できないので、以下をまず確認します。

  • 人数は?
  • 年齢は?
  • 性別は?
  • 職業は?
  • 興味は?
  • 状態は?

例えば、20人ぐらいであれば、双方向なアットホームな会話形式のほうが効果的ですが、100人以上だとそういった空気にはなり難かったりします。また、年齢や職業によって、前提知識が全然違ったりもします。性別によっても、プレゼンのコンテンツ、エネルギーレベル、トーンを変えたほうがいい場合もあります。さらに、そもそもどういった関心でそこに座っているのか、このプレゼンの前に何を聞いて頭の中がどういった状態か、なども具体的に把握できると、より聞き手にとって関連性の高いプレゼンができ、関心を引きつけられる可能性が上がります。

与えられた時間

1時間か、30分か、10分かによって、話せる量が大幅に変わってくるので、準備時間を無駄にしないためにも、これを最初に確認しておきます。20分に向けて準備していたのに、10分であったことが分かった場合、作業量の半分が無駄になりますので、真っ先に確認しておきましょう。

環境と文脈

これは最初の2つほど重要ではありませんが、どういった環境と文脈の中でプレゼンするかも把握できると、よりオーディエンスにとって関連性の高いプレゼンができます。具体的には、どのビルで、どういった大きさの部屋で、どういった椅子の配置で、その前後にオーディエンスはどういったことをする予定か、 ここまで分かるとイメージが湧きやすくなります。特に緊張しがちな方は、ここまでイメトレしておくと、当日の緊張を緩和できます。

オーディエンスと時間配分が分かったら、プレゼンの目的を設定します。 目的は、理解してもらうのではなく、アクションをとってもらうことですので、とってほしいアクションを定めます。例えば、こういった感じです。

  • 事業計画を承認して、さらに継続的な協力がほしい
  • 商品や会社に興味をもってもらって、応募してほしい
  • チームに興味をもってもらって、今後協業案件をもってきてほしい
  • 自分に興味をもってもらって、プレゼンの後に連絡先を聞いてほしい

目的設定は一見当たり前にみえるのですが、プレゼンの準備となるとみな意識せずにいきなりスライドの作成にとりかかってしまいますので、しっかり書いて意識したほうがいいです。

なぜこの目的が重要かというと、 この目的によってストーリーライン(話の道筋)が決まるからです。逆にいうと、この目的がハッキリしないと、ストーリーラインは決められません。

にも関わらず、ほとんどの人はいきなりスライドを書き始めてしまうため、目的を達成するためのストーリーラインに残念ながらなっていないことが非常に多いです。

 

ストーリーライン・スライド構成の作成

ストーリーラインとは、話の道筋、すなわちスライドの構成です。 ストーリーラインはプレゼンの良し悪しを決める最重要ポイントですので、ステップ毎に説明します。

与えられた時間から逆算して、スライドの枚数を決める

スライド1枚を話すのにかかる時間は、平均で2分ぐらいです。早口な人であれば1.5分、ゆっくり話す人でも3分は超えないはずです。

よって、もし15分でのプレゼンを頼まれた場合は、スライドは7−8枚しか使えません。ところが、ほとんどの人はスライドが少ないと不安になるので、15〜20枚ぐらい準備してしまいます。そして、準備に自分の時間を無駄にするだけでなく、全部使うとプレゼンもせっかちなものになり、オーディエンスもついていけず反応もいまいちになります。

プレゼンの目的から、コンテンツをリストアップする

プレゼンの目的と照らして、コンテンツに何を含めるべきか、自己ブレストします。例えば、「社内の上層部に、事業計画を承認してもらい、継続的に協力してもらいたい」という目的だったとします。そして与えられた時間は15分=スライド7−8枚だったとします。

含めるべきコンテンツを、例えばこんな感じで思いついたとします

  1. 事業の概要
  2. 期待できる売上と収益
  3. かかるリソース、コスト、期間、リスク
  4. 会社全体にとっての意味合いと相乗効果
  5. やらないリスク
  6. 他の事業選択肢との比較
  7. 他地域での成功事例、競合の事例
  8. 承認後、協力してほしい事項

これをそのまま思いついた順でスライドを構成する人はいないと思いますが、なんとなく概要は先に話して、その後詳細を話す、といった一般的な順序にする人が多いのではないでしょうか?

でもここでもやはり目的に立ち返って、「上層部に協力してもらうためには、どういう順番で話せば最も可能性が高まるか」ということをストイックに考え続けて、 スライド構成も聞き手の思考の流れに合わせて熟考すべきです。

目的達成のために最適な順番でコンテンツを並べる

プレゼンの 目的達成のための最適な順番を探るコツは、コンテンツを3−4ぐらいのサブ目的に分けることです。

例えば、この例であれば、サブ目的として以下のような意図があることが分かります。

  1. 危機感を煽り、やらないといけないという意識をもってもらう
  2. 危機感へ対処する形で事業を説明して、理解してもらう
  3. 上層部が思いつくであろう、心配ごとに一つ一つ対処する形で反論に備える
  4. 最後にこのプレゼンの目的である上層部へのお願いごとをする

そうすると、以下のように整理できます。

  1. 【危機感】会社全体にとっての意味合いと相乗効果
  2. 【危機感】やらないリスク
  3. 【理解】事業の概要
  4. 【理解】期待できる売上と収益
  5. 【反論】かかるリソース、コスト、期間、リスク
  6. 【反論】他の事業選択肢との比較
  7. 【反論】他地域での成功事例、競合の事例
  8. 【お願い】承認後、協力してほしい事項

もちろんこれは、あくまでも例ですので、実際の上層部の状態や好みなどによって、サブ目的の順序やコンテンツが変わることもあるはずです。よって、たかがスライドの順序と思わずに、目的達成のために熟考すべき最重要事項として、覚えていただければ思います。

ストーリーラインに合わないものは勇気をもって捨てる

実際やってみると分かりますが、よほどプレゼンの時間が長くない限り、スライドは必要な量よりも多くなる傾向にあります。でもおそらくその理由は、上司がこれも入れたいとか、このスライドもう作っちゃったからとか、本質的ではないものも多いはずです。

こういったときは、 思い切って余計なスライドをAppendix(付属)に入れちゃいましょう。完全に消すと心が痛むので、AppendixでQ&Aのとき使おう!と思えば少し気持ちが楽になります。でも実際はほぼ使いませんw

例えば、上の事業計画の例でも、15分で8枚は少し多めではあります。Q&Aの時間も考えると、15分ではなく、話せる時間は実質10分しかないかも知れません。その場合スライドは、8枚から5枚に減らす必要があります。

その時、ストーリーラインを意識していないと、なんとなく重要そうなものを選んで、おそらくこんな減らし方になります。

  1. 【理解】事業の概要
  2. 【理解】期待できる売上と収益
  3. 【反論】かかるリソース、コスト、期間、リスク
  4. 【反論】他の事業選択肢との比較
  5. 【反論】他地域での成功事例、競合の事例

一見しっくりくる構成に見えるかも知れませんが、目的とストーリーラインを意識していれば、重要なストーリーラインが抜けてしまっていることに気づくはずです。(注:危機感の煽りと、肝心なお願いが入っていません)

目的とストーリーラインが意識できていれば、こんな感じで ストーリーラインを維持したまま減らせます

  1. 【危機感】会社全体にとっての意味合いとやらないリスク
  2. 【理解】事業の概要と期待値
  3. 【反論】かかるリソース、コスト、期間、リスク
  4. 【反論】他の事業選択肢との比較
  5. 【お願い】承認後、協力してほしい事項

ご覧の通り、ギュッと短縮されましたが、ストーリーラインは崩れていません。

この場合、冒頭の「プレゼンの目的」が達成できる確率が高い構成はどっちか、もうお分かりですよね。



スライドの作成

オーディエンスと時間配分からプレゼンの目的を設定し、ストーリーラインも定まったら、ようやくスライドの作成にとりかかります。

テーマ

テーマが決まっていない方は、書き始める前にテーマを選ぶ必要がありますが、ここは全く重要じゃないのでささっと決めてしまいましょう。ぶっちゃけテーマなんて誰も気にしていませんw 見やすければなんでもいいと思います。

ご参考までに、僕がテーマを選ぶ際に意識しているポイントは、これです。

シンプル

いろいろデザインがあると気が散ってしまうので、できるだけシンプルなものを選ぶようにしています。ここでもプレゼンの目的に立ち返って考えれば、テーマ選びでカラーやデザインのセンスをアピールする必要性などゼロですので、極端な話をすれば僕は真っ白だっていいと思います。

明るい

色は会場の空気感に影響があると思っているので、僕は明るい配色を選んでいます。濃い水色とか、オレンジとか。ただ、背景の基本は白で、アクセントにタイトルの線とかがこういった色になればいいな、ぐらいに考えています。まあこのあたりは完全に好みですので、暗いスライドがお好きであれば別に構わないと思います。

タイトルスペースが大きすぎない

テーマによっては、タイトルスペースが大きくて、その下のコンテンツスペースが犠牲になっているものは避けるようにしています。タイトルはあくまで見出しなので、読めればいいです。

Google docsのpresentationであれば、「Material」という水色のテーマをよく使っています。Layout設定でタイトルがコンパクトで、コンテンツ部分が大きいものを選んだりもできますので、好みに合わせてカスタマイズしています。

スライド作り

テーマが決まったら、いよいよスライドに入力していきます。

ここで意識すべきは、以下です。

文章はできるだけ書かない

プレゼンに文章を書くと、オーディエンスはそれをじーっと読み始めます。 人間の脳はマルチタスクができないので、読み始めると、話を聞かなくなります。なので、プレゼンではできるだけ文章は避けて短いフレーズや単語を使うといいです。

ただ、例えば後日プレゼンに出席していない重要人物へ資料が展開される場合などは、細かい文章を意図的に入れる場合もあります。この場合、プレゼン自体は最適ではなくなりますが、社内で展開されて「事業計画を承認して、協力してもらう」という目的が達成できるのであれば、全然ありです。

画像や図は目的意識をもって使う

プレゼンというと、図やフローチャートがないといけないみたいな意識をもっている人も多いのではないでしょうか? でも図を作るのって時間がかかりますよね。なので、どうしても無いと分からない場合以外は、作る必要はありません。

逆にどうでもいいところで図がわざわざ入っていると、せっかく作ったのに「この人は暇なのかな」とか「話がくどいな」とすら思われかねないので、 目的意識をもって「図がないと複雑すぎて理解し難い」という時だけに作るといいと思います。

1枚1メッセージを意識する

特に複数のスライドを合体させて、スライド総数を減らしたい時によく起こるのですが、1スライドに複数のメッセージが入ってしまうことがあります。これをすると ストーリーラインがボケてしまい、オーディエンスがついてき難くなりますので、避けたほうがいいです。

どうしても複数のポイントが同じスライドに入ってしまう場合は、どちらが優先順位が高いか自分のなかではっきりさせて、話すときにオーディエンスにも伝わるように強調できるといいです。

フォントサイズは18pt、どんなに小さくても12pt以上を使う

あれもこれも入れようとして、フォントがどんどん小さくなってしまったことってないでしょうかw? 12pt未満だと後ろの席からは絶対に読めませんので、 文字はできれば18pt、最小でも12ptにできるといいと思います。

ただ、これも先ほどのプレゼンの目的次第で、社内展開資料であれば、12ptでも10ptでもそれこそ8ptでもいいと思います。ただ、その場合、プレゼン中は文字が読めない前提で、「読まないでください」と前置きをしながらプレゼンできると、話を聞かずに読み出す人を減らせます。

コンテンツはストーリーラインから作る

スライドを作り始めると、どうしてもあれもこれもと分析したことや、調べたことなどいろいろ盛り込みたくなるのですが、ここでも ストーリーラインから遡って、必要かどうかを判断できるといいと思います。

Nice to have(必須ではないけど、あってもいい)的なコンテンツは、「使い切った!」という自己満足は得られますが、オーディエンスからするとプレゼンターの準備時間など全く価値がないので、ポイントがボケてしまい、置いていかれる人が増えてしまいます。

そうすると、結果的にオーディエンスの満足度は下がり、プレゼンの目的を達成できる確率が下がりますので、やはりストイックにプレゼンの目的とストーリーラインを意識し続けながら、Nice to have的な自己満足コンテンツをどんどんAppendixに放り込んで、ストーリーラインをシャープに保てると、より効果的なプレゼンになります。

原稿よりも、箇条書きを覚える

スライドの作成が終わったら、プレゼンで話す 原稿を作る人も多いと思いますが、僕は原稿作りはおすすめしません

  • 書くことと話すことは、全く別物なので、どうせその通りに話せず、結果的に時間の無駄となる
  • 文章で覚えようとすると、脳みそがパンクするので、ポイントだけ押さえて、内容は練習で覚えたほうが効率が良い

原稿の代わりにおすすめな方法はこれです。

  • スライド毎に、押さえるべきポイント3-4個を箇条書きで覚える
  • 全スライドを通しで5回練習して、箇条書きと話す内容を頭に叩き込む

通しで5回も声に出して練習すれば、だいたい忘れずに話せるようになりますが、どうしても忘れがちな方は、以下のハックを使ってみてください。

  • 箇条書きのポイントをスライドにしてしまうか、どこかにヒントを入れておく(オーディエンスに違和感ない形で)
  • 思い切って忘れるポイントを削除する(何度も忘れる = おそらく重要ではないため)

ここまでで、オーディエンスの理解、目的の設定、ストーリーラインの作成、スライドの構成、スライド作り、原稿について書きました。

ほとんどの人が、プレゼンの準備に充てる全時間の95%から100%をここまでに費やして本番に挑む思いますが、これは実は本当にもったいないです。なぜならば、 プレゼンへの評価というものは、話す内容よりも、話し方のほうがはるかに重要だからです!

このプレゼンの伝え方を、えいごでは「デリバリー」といいますが、このコンテンツをオーディエンスへ届ける「デリバリー」方法こそ、プレゼンの最大の本質だったりします。準備中の方は、ぜひ読んでみてください。

【元講師が解説】プレゼンの準備と話し方のコツ

2019年1月24日

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
YOLO. You only live once!



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